The Journal of Physical Chemistry C (2026) · DOI:10.1021/acs.jpcc.6c00737

ACS Earth and Space Chemistry (2026) · DOI:10.1021/acsearthspacechem.5c00326
同期の高野さんとの共著論文です。高温高圧下でFeSの第V相に水素が取り込まれないことを示し、過去の研究でFeSは水素を貯蔵できるという報告がなされてしまった原因まで明らかにしました。無いことの証明は難しかったですが、実験も計算も盛りだくさんで、確からしい結論を導けたと思います。

ACS Earth and Space Chemistry (2026) · DOI:10.1021/acsearthspacechem.5c00300
𠮷岡さんが学部の頃から取り組んでいるテーマで、L体とD体のアミノ酸が共存する水溶液から氷VIが結晶化するにあたって、アミノ酸がどのように結晶化するかを調べ、過剰な異性体が水溶液側に濃縮する可能性を示しました。地球上の生命のL体過剰を説明するにはまだ程遠いですが、氷衛星の内部海が凍結していくような過程での物質循環という一般的な観点からも、新しいアイデアを提示できていると思います。

Chemical Physics Letters 884:142600 (2025) · DOI:10.1016/j.cplett.2025.142600
プリン(C5H4N4)の結晶は、圧力をかけると全体としては高密度化しつつもc軸方向に膨らむこと、および0.7 GPa前後で圧力誘起相転移を起こし、パッキング構造の異なる結晶相へ変化することを示し、高圧下単結晶X線回折から構造を解きました。 高圧相に相転移する際、他の分子との反発を避けるため、水素結合距離はむしろ長くなるが、水素結合の本数が増加している可能性を指摘しました。

Applied Physics Letters 127:211904 (2025) · DOI:10.1063/5.0299650
フランスでお手伝いした仕事で、Paris–Edinbourgセルと希釈冷凍機を組み合わせることで160 mK, 20 GPaにおける中性子回折測定を行い、理論計算で予測されたような磁気モーメントの秩序化が起こるかどうかを調べました。冷凍機自体は50 mK 程度まで冷却できるのですが、中性子ビームを照射すると 100 mK ほど温度が上がりまして160 mKとなりました。これは非常に興味深い観測かと思います。

Nature Communications 15:5100 (2024) · DOI:10.1038/s41467-024-48932-8
小松さんが近年継続して取り組んでいる、ダイヤモンドアンビルセルを用いた中性子回折の仕事で、今回、最高圧力106 GPaまでの粉末中性子回折をから、氷VIIの水素結合対称化を議論しました。100 GPaを超える圧力での中性子回折を報告したのは我々が最初ではありません(→Haberl et al., Sci. Rep. (2023))が、実際に物質科学への応用として原子座標(ice VII (X)中の水素位置)の精密化を行った点が世界初の成果です。

Journal of Raman Spectroscopy 55 (6):706 (2024) · DOI:10.1002/jrs.6663
ポスドクの高橋菜緒子さんとの共著です。 高温高圧実験において、ジルコンのラマンスペクトルを使って圧力を決定する手法を、従前より広い圧力範囲へ拡張しました。 標準的な方法で圧力を決定し、圧力スケール間の整合性を担保しつつ調べ直したのは意味があったと思います。他グループの方にも使っていただければと思います。

The Journal of Physical Chemistry Letters 14:10664 (2023) · DOI:10.1021/acs.jpclett.3c02563
高圧準安定相である Ice IV 中の水分子は配向無秩序状態ですが、低温高圧中性子回折実験により、ice IVにおいて120 K付近で微弱ながら水素秩序化が起こっていることを初めて報告しました。B4の卒論のテーマです。
水の準安定相である氷IVは、水を高圧下で凍らせても再現性よく出現しないことで有名でしたが、水を均一角形成温度まで深く過冷却することで、過冷却水から氷IVが再現よく選択的に結晶化することを初めて示しました。M1の頃の仕事で、氷XXI〜XXIIIの発見のきっかけとなった実験です。